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電脳奇人Zuuboがもうなんだかわからない現実とか妄想とかを邪念まみれで書き散らすカオスなブログ
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 「殺竜事件」
 著者・上遠野浩平

現代の現実世界とは並行して存在する別世界。
科学の代わりに魔法と呼ばれる技術が発達した世界を舞台にした半ミステリー半ロードムービー的な構成の物語。

「竜」という全てを超越した知的生物が住み着いていることを後ろ盾として独立自治を確立していた「ロミアザルス」という集落、だがその無敵の「竜」は何者かに殺されてしまう。

争いを嫌うという竜の威光を利用して紛争の調停を目論んでいた世界に並ならぬ影響を持つ通商連合「七海連合」
その依頼で立会人を務めるはずだった女性仕官
「レーゼ・リスカッセ」特務大尉
謀略と弁舌で歴史の流れさえ歪めると言われる、世界にたった23人しか存在しない七海連合の戦地調停師、「エドワード・シーズワークス・マークウィッスル」
通称「ED(エド)」
類稀な武勇で、「風の騎士」の異名を持つ七海連合の派遣士官
「ヒースロゥ・クリストフ」少佐
の三人は竜殺害の謎を解き明かすため一年以内に竜に面会した「容疑者」達と会うために世界中を旅して回ることに。
期限は一ヶ月。
果たして「不死身」のはずの竜は、誰に(whodunit),なぜ(whydunit),いかにして(howdunit)「刺殺」されたのか?

というのがまああらすじ。
上遠野氏の小説は代表作の「ブギーポップ」シリーズの最初の方しか読んだことがないけど、ファンタジーチックな設定を用いながらも、人間の暗い部分を描くのに長けた人という印象で、この殺竜事件も魔法が使えるというファンタジックな世界においても人間は現実と変わらず醜く浅ましい争いを続けている。
これは他の人の感想を聞いて「なるほど」と思ったことだが、殺竜事件と銘打っているものの、竜が殺されたことよりも、その謎を解くために世界を旅する三人が遭遇する事件や人物の描写がメインとなっている。
特に今後シリーズを続けていく上での世界観説明みたいなものも含めており、本作に登場したキャラクター達は今後もその名前や本人が登場する。

一応分類としてはミステリになるのだが、その根幹をなす物理法則自体が現実とは違うものなので、いわゆる「推理モノ」というのとはやや毛色が異なると思う。
当然読んでるこっちは魔法と言う技術でどこまでのことが可能で不可能なのがまるでわからないので、一緒になって考えるというよりはただひたすら客観的に内容を追って行った方が楽しめるのではないかと思う。

結末としては現実とはちがう魔法という法則や竜の不死身の力などの概念で、やや煙にまかれてしまったような印象も残ったが、全体として楽しめたと思う。
人の有り様こそ現実的とはいえやはり魔法という概念はファンタジックであり、そういう設定に心惹かれるものもあった。

またイラストレーターの金子一馬氏のイラストもその世界観をよく盛り上げていると思う。
特に「竜」のデザインは既存のドラゴンの大きいトカゲというイメージを壊すものであり、なかなか前衛的で格好良かった。

といってもそもそもボクはこの人のイラストが好きでこの小説を買った口なのでこれはあまり客観的な意見とは言えないが。

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